ニュースリリース

「パーソナライズされた情報に、人は自然に関心を持つ」
ダイレクトメールに関する脳科学実験で確認

2015年1月21日

情報管理ソリューションのトッパン・フォームズ株式会社(以下トッパンフォームズ)は、ダイレクトメール(DM)に関する脳科学実験を国際医療福祉大学教授の中川雅文医学博士監修のもと実施しました。実験ではDMに盛り込まれる要素を分解して、その技法の効果を検証しました。その結果、実証された一つとして「人はDMにおけるパーソナライズされた情報、すなわち自分に向けられた個別の情報には、強く読み込むことなくごく自然に関心を持つ」ということが脳の生体反応レベルで判明しました。

実験の手順および脳の反応

A4用紙にそれぞれ「こんにちは」「山田さん こんにちは」(被験者の名前例)と書かれたものを被験者に別々に見せ、その反応を測定した。

測定時の脳の反応 図1 左側頭葉
測定時の脳の反応 図2 前頭葉

測定時の脳の反応から「自分の名前=パーソナライズされた情報」としてメッセージが記された印刷物を提示されるとパーソナライズされていないものよりも、より高い「注意」を向けることが分かりました。

  • 図1の説明
    一般的に印刷物の文面や内容などテキスト情報を読み込む時、左側頭葉が活性化します。一生懸命に読んでいる時は近赤外分光法(NIRS)で左側頭葉は赤く表示され(活性化)、テキストに興味や関心が向けられてないと青く表示されます(不活性化)。図1では、名入りの場合に文字情報の情報処理がほとんどなされていないことが分かります。
  • 図2の説明
    一般的に興味、渇望、射幸心などの注意が向けられている時、左の前頭葉が活性化されます。活性化した部位はNIRSでは赤く示されます。図2では、名前入りは名前なしに比べ左前頭葉部位での強い活性化が生じていることが分かります。

つまり、名前入りの印刷物は、「内容をしっかり読み込んで理解することに先行して、非常に強いレベルの興味や関心がまず向けられる」と言えます。

実験の背景と今後の展開

「DMに個人の名前を入れると高い関心を持たれる」という技法は、DM製作におけるノウハウとして広く知られている定説です。トッパンフォームズでも、この技法の有効性に着目し、定量的に有効性の裏付けを取っていました。
今回の結果から、企業のプロモーションやコミュニケーション戦略において、消費者向けにパーソナライズされた情報を付与するワントゥーワンマーケティングなどの手法は企業が消費者とのコミュニケーションの精度を高めていくための、より有効な手段だと言えます。
トッパンフォームズでは、これまでのDMに関する脳科学実験により判明したデータのほか、視線計測による紙面の閲覧状況調査や行動観察調査などの認知科学技術を駆使して、「本当に伝えたい相手への、本当に必要なコミュニケーション」を実現するダイレクトマーケティング戦略策定に活用していく予定です。また、一人ひとりに最適な情報を差し替えて伝えるバリアブル(可変)印刷を中心としたワントゥーワンマーケティングに最適なサービスの提供により、企業のダイレクトマーケティング活動をサポートしていきます。

実験の方法について

実験は島津製作所の近赤外光イメージング装置(fNIRS)を用いて、人がある特定の活動をする時に脳のどの部位が関わっているのかを調べ、DMに接した時の脳の反応を測定しました。今回の実験では12名の被験者に協力してもらい、年代別や男女別による情報の捉え方の違いなども検証することができました。

以上

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