お知らせ

TOPPANエッジ、NeUおよび東京都市大学との共同研究による視線と性格特性の関連性に関する論文が「HCI International 2024」のHIMI分野において「Best Paper Award」を受賞
潜在意識を生体信号によって可視化する「ニューロデザイン®」を活用しクリエイティブを見た際の視線と性格特性について分析する共同研究を実施

2024年8月21日
TOPPANエッジ株式会社

 TOPPANエッジ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:添田 秀樹、以下 TOPPANエッジ)は、株式会社NeU(ニュー、本社:東京都千代田区、代表取締役(CEO):長谷川 清、以下 NeU)、東京都市大学 桂研究室(所在地:東京都世田谷区)と、2022年4月から2024年3月まで、広告・宣伝・通知物などのクリエイティブを見た際の視線と人の性格特性の関連性についての共同研究を実施。このたび本共同研究に関する論文が、2024年6月29日から7月4日に米国、ワシントンDCにて開催されたHCI(Human-Computer Interaction)分野で最も権威のある国際会議の一つであり、最新の研究成果や技術を発表する学会である「HCI International 2024」において、HIMI(Human Interface and the Management of Information)分野の「Best Paper Award」を受賞しました。

論文について

  • タイトル:"Exploring Connections Between Eye Movements and the Big Five Personality Traits"
  • 著者名:Yuya Tahara, Issei Inaba, Yukio Saito (Tokyo City University, Japan),Toru Hitomi, Takuya Okada (NeU Corp., Japan), Yuka Honda (TOPPAN Edge Inc., Japan),and Takusige Katura (Tokyo City University, Japan)
  • URL:https://2024.hci.international/HIMI-best-paper-award.html

研究の背景

 近年、インターネットをはじめとした様々なメディアの普及に伴い、人々はあらゆる場面で広告や宣伝などのクリエイティブに接しています。企業やデザイン制作会社、クリエイターは、より一層消費者に伝わる、効果的なデザイン制作が求められています。
 このような中、脳科学を応用して購買行動を予測するニューロマーケティングの知見を持つ東京都市大学 桂研究所と、「ニューロデザイン®」(※1)を提供するTOPPANエッジおよびNeUは、パーソナライズされた通知物やコンテンツのクリエイティブ改善を目的に、視線と性格特性の関連性を解明するための共同研究を実施してきました。

論文の概要

 視線追跡技術は、無意識の嗜好や反応を明らかにする手段として、ニューロマーケティングなどで広く利用されています。本論文では、「ニューロデザイン®」を活用して収集した視線追跡データを用いて、性格特性のビッグファイブ(「外向性」「誠実性」「協調性」「開放性」「神経質的傾向」)が視覚的注意パターンにどのように影響するかを分析しました。
 実験では、10名の参加者が「好き」「嫌い」「中立」の3段階で70枚の画像を評価し、同時にアイトラッカーで視線データを記録しました。評価後、参加者はビッグファイブ性格モデル(※2)に基づくアンケートに回答。収集した視線追跡データから視線の固定時間、移動範囲、遷移エントロピー(※3)などの特徴を抽出し、性格特性との関連を分析しました。
 その結果、視線追跡データと性格特性に関連性が見られ、特に性格特性の「協調性」と「開放性」においては、視線移動の特徴がこれらの性格特性を予測する可能性が示されました。「協調性」には視線移動範囲の広さと追従時間の長さ、「開放性」には視線遷移エントロピーの高さと視線固定時間の長さがそれぞれ関連していることが分かりました。

視線の特徴量ごとに協調性の高低を色分けした図。赤点が協調性の高いもの、青点が協調性の低いものを表す。

今後の展開

 TOPPANエッジは、NeUおよび東京都市大学 桂研究室とともに、今後も「ニューロデザイン®」で取得したデータを活用し、視線と性格特性のみならず脳活動などの生体反応とクリエイティブの関係性について深掘りしていくことで、通知物やコンテンツにおけるクリエイティブの評価・改善に寄与していきます。

※1 「ニューロデザイン®」は、TOPPANエッジとNeUが共同で提供する、潜在意識を生体信号(脳活動・視線)により可視化し、様々な観点からの評価を基に科学的なクリエイティブ制作を実現するサービスです。
  「ニューロデザイン®」計測評価 URL:https://solution.toppan.co.jp/toppan-edge/service/neurodesign.html
  「ニューロデザイン®」AI評価 URL:https://solution.toppan.co.jp/toppan-edge/service/neurodesign_ai.html

※2 ビッグファイブ性格モデルとは、性格特性に関する膨大なデータ分析から判明している主要な5因子(「外向性」「誠実性」「協調性」「開放性」「神経質的傾向」)を軸に、一個人の性格特性を記述する心理学的枠組み

※3 遷移エントロピーとは、視線が異なる視点間を移動する際の無秩序さや予測不可能性のこと。

* 本文に記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。

* 本文に記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。

以上